浜松城と梅の花
《福祉住環境コーディネーター》という仕事
業務形態と報酬、責任について
2002(平成14)年に〔福祉住環境コーディネート事務所〕を開設し、早や1年近くたちました。
日頃の業務やまわりの方々、サイトへのご意見などを通してこの仕事について感じていることを記します。
このような専業事務所は、いまのところ他にまだないようです。なぜ?
《福祉住環境コーディネーター》だけでは事業として成り立たないでしょうから。
「どのように報酬を得るか」が問題です。
「福祉住環境コーディネーター検定試験 1級テキスト」に
コーディネーターが遵守すべき項目として10項目の記載があり、
その中で『9.福祉住環境コーディネーターは、不当な報酬を求めない』と、あります。
それでは、適切な報酬とは?どこかに明確な規定があるのでしょうか。
現状では、コーディネートだけで報酬を支払ってくれる顧客はほとんどない、と私は思います。
報酬を得るとすれば、次のような業態が考えられます。
1.設計料として・・・コーディネートした案を設計図や仕様書という形にして提示する。
建築士法上は原則として新築工事の場合は、建築士でなくては設計や工事監理で報酬を得ることはできません。
2.工事費として・・・実際に工事を実施し、工事費をいただく。
この1と2の形で業務する場合に「報酬の一部がコーディネート費」ということができると思われます。
実際、私は工事費を顧客からいただき、その中で「コーディネート費」を計上していることがほとんどです。
「諸経費」とあわせ、10〜13%程度に設定しています。
この1年間で約200件の工事を実施し平均工事単価は15万円程度ですから、
「コーディネート費・諸経費」あわせて、1件当たり1万数千円程度です。
介護保険住宅改修費支給申請等で市町村にこの内訳書を提出していますが、
「不適切である」という指摘を受けたことはありません。
3.工事を直接実施しないで、コーディネート費を受取る・・・本来、この形で報酬を受けるべきでしょう。
しかし、問題はこの資格が社会的認知されていない、ということ。
「住環境コーディネート費を下さい」と請求して報酬をいただけるしょうか。
コーディネート費を施工業者とは別に、あるいは設計費でもなく、単独で受取るとすれば、
それは「相談料」に近いものと考えられます。
「コーディネート費=相談料」とした場合、私は「コーディネートしたことによる責任はどうやってとるのか」
が問題だと考えます。相談を受けて意見を述べることを業務とするなら、どこに責任が発生するでしょうか?
私はコーディネートや施工で不備があった場合に、私の責任で手直しを行います。
「相談」だけではこのような責任の取り方ができません。
このような理由で、私の通常の業務形態は「工事を直接請け負い、工事費を報酬として得る」としています。
責任を果たすには、もっとも適している形態であると考えています。
以上は、「報酬を得るための業務形態」です。
福祉住環境コーディネーターとしての報酬を得ない場合、例えばケアマネジャーや訪問看護師、
PTやOTが福祉住環境コーディネーターとしての知識を活かしてアドバイスをするなら、
コーディネーターとしての報酬を要求することも得ることもできないでしょう。
このように考えると、 福祉住環境コーディネーターとは、
「建築や福祉・医療関係者が、社会責任上知識として知っておくべきもの」と捉えてよいのかも。
いかがでしょうか?
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