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ときどきコラム

153

2008年1月22日

 

ちょっと違うと思う

「家族に頼らない介護になった」

実は、このコラムは1月7日(確か)、一旦掲載したのですが、昨日更新したときに、誤ってこのページを削除してしまいました。

原稿は本日(2008年1月22日)、一から作り直しました。

上書き更新してしまい、元の原稿が復旧できないのです。

かなり前回よりも書き加えてしまいました。

万事塞翁が馬、でしょうか。

1月6日(日)朝日新聞の朝刊opinion欄に、

『われわれはどこへ』題する対談が掲載されました。

泣く子も黙るような論客お二人です。

○上野千鶴子氏 1948年生まれ(59歳)

東京大学院教授。専門は女性学、ジェンダー研究。

ベストセラー『おひとりさまの老後』の著者です。 

○加藤周一氏 1919年生まれ(88歳)

東京大学医学部卒。評論家、作家。『日本文学史序説』で大仏次郎賞を受賞。

ケンブリッジ大学客員教授などなど、各地の大学で教壇に立つ。

いわゆる、“知の巨人”。『九条の会』呼びかけ人。


この巨人たちに いちゃもんを付けたいわけではありません。

ほとんどの意見には納得し共鳴しました。

ただ、標記の点だけに引っ掛かった・・違和感を覚えた・・のです。

以下、記事の一部分を抜粋です。(一部省略。敬称略。アンダーライン・着色文字は西村による)


(司会者)今後、日本が掲げるべき目標のようなものは。

(加藤)・・これからは、軍事力や経済力ではない、第三の道で切り開いていくしかない。

(司会)例えば?

(加藤)一つは福祉。日本国民の福祉から始めて、周りに普及させていくといい

    もう一つは文化。・・・

    現実的な目標としてワーキングプア対策・・・

(上野)日本は05年から人口が減少に転じた。衰退していく社会「成熟社会」にどう軟着陸するか。

    私は「生活の質」(QOL)を重視したい。国際的にみて日本のQOLはすごく高い。

    治安がいい。エネルギーや水道といったインフラの水準が高い。

    こんな安心と安全を捨てたくないと思うインフラを若者に与え続ける必要がある。

(司会)高齢者問題は。

(上野)国民皆保険で介護保険ができたのは快挙だ。健康保険さえできない国がたくさんある。

    介護保険は二つめの国民皆保険で、運用開始から8年の経験がある。世界でも未曾有。

    高齢化が進む各国は、日本でうまくいくかどうか、固唾をのんでみている

(加藤)明治以降、日本の倫理的体系は儒教で、家族制度が中心だった。それが戦後に崩壊した

    そのため提供できなくなった介護をこの保険が穴埋めしているのでは

(上野)儒教的家族主義の破綻を政府が認めた。そのことが大きい。

    介護保険は「家族革命」だ。介護を他人が行う。家族に頼らない介護を常識化した。(*_*)

(加藤)儒教的家族主義の破綻は介護保険だけでなく、社会のいろいろなところに現れている。

    だから介護保険が世界に自慢できること、希望の旗といえるのかどうか、私にはわからない。

    ただ、家族に頼らない介護が達成できれば、大いに国民を引っ張る旗印になるし、(@_@)

    世界に向けて発信できる一つの価値観になると思う(@_@)

    仏教も儒教もキリスト教も信じない、でも有効に機能する社会秩序を作り出すことが可能だ、と(>_<)

(上野)介護保険は草の根の福祉の担い手によって支えられてきた。

    希望は、彼らにある。

    しかも携わっているのはほとんどが女性と若者。他になり手がないからでは。

    この人たちがプライドをもって働ける条件整備がぜひとも必要だ!(^^)!それは必要です

    

(加藤)日本は犯罪の発生率が非常に低い。・・・大きな都会が安全だ。なぜか。

    儒教的価値観は45年に滅んでしまい、そのあとには何もない。

    儒教のかわりに対応したのが集団主義だ。その集団主義が崩れたら、社会は危うくなるだろう

    その時、どうするか。この問題をうまく解ければ、これからの大きな希望になる

    私たちの親の世代、太平洋戦争をくぐり抜けた世代が死に絶える、

    今から約20年後、日本はがらっと変わるでしょう  

    

(上野)日本では宗教の代わりに、家族主義と「世間教」があった。

    国民皆保険はアメリカではできない。アメリカは社会連帯の成立しない社会を作ってしまったから。

    でもヨーロッパと日本にはまだ社会的な連帯があるもう危うい

    これは良くも悪くも働くが、良い方に働いたのが介護保険だ

    連帯があるから介護保険が運用できている、とは思えない。

    保険金の醵出を連帯と呼ぶなら別ですが

    女性や若者に雇用を作り出せる。    

    

(加藤)希望なしとはいえない。希望があるともいえない。

    「ある」と言いたいが、「証拠は」と言われるとつらい。

    そういう時代だと思う。

(上野)もはやお手本のない時代。積極的なモデルは見えないが、否定的なモデルならわかる。

    例えば「アメリカ化するな」のような。

    将来予測は、天気予報ではない。変えたい方向に変える選択が重要だ。

 

介護保険が運用できているのは、次のような基盤があるからだと思う。

基盤1

保険料が税金と同じように徴収され資金が確保されている。

しかも費用の1/2は税金でまかなわれている。

基盤2

従事者の多くは薄給でも使命感をもって働いている。

基盤3

家庭での基盤は、やはり家族。特に女性の忍従が大きい。

単身者の介護は社会が担っており、

この点は介護保険の優れたシステムが機能していると思います。

 

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