。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆
やまのい和則の
「軽老の国」から「敬老の国」へ
第1050号(2008/01/11)
。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆〃。☆
◆ 与野党議員で肝炎被害者と面会
〜官僚の壁を越えられなかった与党〜 ◆
今日11日金曜日の午前。
参議院本会議で 薬害肝炎救済法案 が可決されました。
私も久しぶりに参議院本会議場に傍聴に行きました。
そういえば、前回、ここに傍聴に来たのは、
郵政民営化法案が否決された、
例の郵政解散のとき、2006年7月です。
午後は、衆議院本会議で、テロ新法の再議決。57年ぶり。
昨年7月の国民の民意に反した再議決は 問題があります。
◆さて、肝炎救済法案の成立を受けて、与野党議員で、
薬害肝炎訴訟の原告の方々10名とお目にかかりました。
報告集会です。原告10名はすべて女性。
私からすれば、患者さんというよりは、「戦士」に見えました。
ご自分も長年ご病気で苦しまれ、体調が悪いだけでなく、
離婚や離職など、さまざま苦労をしながらも、
薬害肝炎問題を明らかにするために、
5年間戦ってこられた戦士です。
国会議員よりも正義感が強く、命がけで戦ってこられたのです。
◆この30分の集会で考えさせられたことがありました。
まずは、与党議員の多さ。民主党議員は少なかったが、
与党議員は10人以上来ました。
そして、与党議員の方々が、原告の方々に対して、
苦労をねぎらうスピーチをされました。
「長年、大変なご苦労かけた。やっとここまで来ました。
良かったですね」と。
しかし、末席に座っていた私は心の中でつぶやきました。
「良かったですね、ではないでしょう。
長年大変な苦労をかけたのは、
与党が決断しなかったからでしょう。
今までずっと原告からの面会要求を拒否し、
訴訟中だからという理由で、薬害肝炎への対応も拒否。
『薬害』という言葉すら認めてこなかったのは与党ではないか。
原告が涙ながらに要望し続けた『一律救済』に
最後まで反対してきたのは与党ではないか」
◆民主党は 過去25回も毎週のように肝炎対策本部会議を開き、
10回以上、原告や患者の方々の話を聞き続けてきました。
国会でも何度も何度も、薬害肝炎問題をとりあげました。
しかし、与党議員の多くは、
訴訟中という理由で原告との面会を拒否。
何度、訪問しても、門前払いの事務所もありました。
寒い冬や熱い夏の涙ながらの原告の座り込みのときも、
与党議員は一度も一人も来たことがありません。
そして、やっと秋に はじめて与党議員の会議に
原告が呼ばれ発言の機会を得ましたが、
当初、原告に与えられた発言時間はたった10分
(実際は20分質疑できたようですが)。
1年以上要望し続けて、やっと正式に会議で話を聞いてもらえたら
「10分で話してください」。
しかし、「ねじれ国会」になり、
民主党が攻勢を強め、状況は一転。
民主党が肝炎医療費助成法案を参議院に提出し、
418人の「命のリスト」問題を国会で激しく追及。
最終的に、福田総理も与党も
「一律救済」を飲まざるを得なくなりました。
◆これは「政治決断」ではなく、「一律救済」を決断しなければ、
支持率が下がって、政権が持たないからです。
薬害被害者のためを思っての決断でなく、
支持率をこれ以上下げないための「決断」でした。
もし、参議院選挙で「ねじれ国会」になっていなかったら、
民主党の力がここまで大きくなっていなかったら、
薬害肝炎問題は、いつまでも解決されなかったでしょう。
しかし、世論が動き、いざ「一律救済」を決断したら、
あとは与党議員の動きは早い。
マスコミの前で原告とも笑顔で談笑。
今日の集会でも、「後援会ニュースに載せるから」と、
原告の方々と記念写真を撮る与党議員も。
原告の方々は私たち議員に対して、切々と訴えられました。
「薬害に限らず、350万人のすべての肝炎感染者への
治療費助成が私たちの到達目標です。
今回の薬害肝炎1000人対象の法案は、
全面解決の土台ができたわけで、喜んでいますが、
私たちは満足していません」
「肝臓がんの患者さんや、カルテのない薬害の被害者は、
今日の報道をどのように見ているでしょうか。
いくら法律ができても、法律の対象にならない患者の方々は、
歯がゆい思いではないでしょうか。
350万人の医療費助成を実現させるために、
新たな戦いを始めます」
◆そして、最後にある原告は涙ながらに、訴えられました。
「被害者が、病気に苦しみながらもなお、座り込みをし、
長年、訴訟をして戦わないと、対策が進まない。
そんなことのないようにしてほしい!」
この言葉は、長年、薬害肝炎問題から逃げ続けた、
いや、薬害肝炎問題を葬りさろうとしてきた
国会議員に対しての怒りだったように思います。
そして、その国会議員の中には、
私自身も当然含まれていると思います。
私も薬害肝炎問題に関心を持ったのはごく最近ですので。
◆最後に何が言いたいかと言えば、
与党議員も精一杯頑張ったとは思います。
しかし、厚生労働省の官僚の厚い壁を破れなかったのです。
「官僚が、『原告には会わないで下さい』と言っている。
官僚が、『薬害は認められない』と言っている。
官僚が、『一律救済は無理だ』と言っている」・・・・・・。
もちろん、厚生労働省の官僚には、
官僚なりの正義感や見識はあると思います。
私が尊敬する官僚の方々も多くおられます。
しかし、その官僚の判断がおかしいと思ったときには、
政治家が、官僚を説得するなり、
正さねばならないのではないでしょうか?
今日の与野党議員の薬害肝炎原告との面談で、
私は自民党長期政権の根本的な問題を痛感しました。
素晴らしい官僚の方々は多い。
しかし、そもそも官僚の方々は選挙で選ばれたわけでもないので、
思いきった決断はできないのです。
だからこそ、政治決断をするために、
国会議員がいるのではないでしょうか?
政権の支持率が落ちないと、国民の声を聞かない。
◆これは、「消えた年金問題」のときと全く同じパターン。
最初、安倍総理は、
「不安をあおるな。年金は消えてない」と言っていました。
しかし、支持率が落ちたら急に、
「最後の一人、一円まで救済します」と大転換。
それまでは、
いくら多くの消えた年金の被害者が泣きながら訴えようが、
社会保険庁幹部の
「消えた年金問題は、民主党の言いがかりに過ぎない」
という言葉を安倍総理は信じていました。
薬害肝炎問題への取り組みが、非常に遅れたことに対し、
私も議員の一人として、深く反省したいと思います。
以上で、メールマガジン終わります。
山井和則
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆やまのい和則の「軽老の国」から「敬老の国」へ☆
(2008/1/11 読者数 3640 [同内容のメルマガ合計 4166])
ご意見・ご質問・ご感想はこちら:yamanoi@yamanoi.net
ホームページもご覧ください:http://www.yamanoi.net/
|