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ときどきコラム

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2006年4月20日

静岡はすっかり初夏です。4月20日撮影、掛川市にて

「どんな景勝地よりも里山は美しい」と感じました。山の新緑、手入れの行き届いた茶畑、生活の息吹・・

私のまわりに、あまりに疲れている人が多いので。私も含めて、少しでも心に余裕を持ちたいから・・2006.4.28掲載

手帳より【雨ニモマケズ】

あまりに有名な宮沢賢治の“詩”です。

石巻市の賢治記念館で購入した直筆のコピーを自分で額装しました。

私が通った日本社会事業学校専修科の図書館(日本社会事業大学と共用)の図書館にも掲げてありました。

ある人は「賢治の最高の詩である」と評価し、また「詩のかたちをなしていない、ただの走り書きである」という人もいます。

賢治が昭和6年9月に東京で倒れた頃から、帰省して病床にいた同年暮れまでの間に手帳に書き残されたものです。

賢治には他にカタカナだけで書かれた作品はありません。

詩として完成させようという意図はなかったと思われます。

死期を前にして、自分が生きていく上での自戒言を記したのであろうとされています。(新潮文庫版『宮沢賢治詩集』の草野心平氏解説による)

また、賢治が尊敬し交流のあった同郷のクリスチャン・斉藤宗次郎がこの詩のモデルともいわれています。内村鑑三の影響を受け教師だった宗次郎は仏教から改宗し、非戦論を主張。教師を罷免され、娘は学校でいじめられ殴られて死亡。しかし新聞配達などしながら宣教活動を続けたそうです。

雨ニモマケズ

風ニモマケズ

雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ

丈夫ナカラダヲモチ

慾ハナク

決シテ瞋(イカ)ラズ

イツモシヅカニワラッテヰル

一日ニ玄米四合ト

味噌ト少シノ野菜ヲタベ

アラユルコトヲ

ジブンヲカンジョウニ入レズニ

ヨクミキキシワカリ

ソシテワスレズ

野原ノ松ノ林ノ蔭ノ

小サナ萱ブキノ小屋ニヰテ

東ニ病気ノコドモアレバ

行ッテ看病シテヤリ

西ニツカレタ母アレバ

行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ

南ニ死ニサウナ人アレバ

行ッテコハガラナクテモイイトイヒ

北ニケンクヮヤソショウガアレバ

ツマラナイカラヤメロトイヒ

ヒデリノトキハナミダヲナガシ

サムサノナツハオロオロアルキ

ミンナニデクノボートヨバレ

ホメラレモセズ

クニモサレズ

サウイフモノニ

ワタシハナリタイ

斉藤宗次郎氏この詩のような生活をしていたといわれています。

イエス・キリストだけが実践できる、ともいえます。

(西村:注)原文ではヒドリノトキハナミダヲナガシです。

この手帳の詩が世に出た時から、「日照りの時は・・をヒトリノトキハと表した、または書き損じた」と解釈されてきました。しかし、研究者によっては「原文通り、独りの時は・・である」という説もあります。

 

 

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