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ときどきコラム

181

2008年11月25日

 

「住宅改修サポートシステム」が必要です

 

 住宅改修工事の施工内容決定はどのようになされるべきでしょう。

 責任はだれが負うのでしょう。

この写真は、下肢筋力低下した要介護者が「トイレと浴室に手すりが欲しい」との要望で現地調査にうかがったお宅です。

玄関に〔突っ張り棒式手すり〕が設置してあり、びっくり。

介護保険で用具貸与(レンタル)の品目です。

ご家族とケアマネさんに「この手すりで間に合っていますか?」とたずねると、「なんとか使っています」とのこと。

「福祉用具事業者が『この壁には手すりは付けられない』と言ったので」とか。

登り棒でっか?!天井まで登るんかい?!

フィールドアスレチックじゃあるまいし(*_*)

上がるときは何とかなるとしても、降りるときはどのように使うのか?

「○×メディカル」のステッカーが貼ってありました。

 

 

 

当方から壁面への手すり取付けを提案。

要介護者本人は「これで慣れているから」と遠慮し、

ご家族は「じゃまだった。取り付くものなら取付けて欲しい。」

引き戸は造り付けの下足入れ。

ちょうど、この鴨居の高さに手すりを取り付けたい。

建具の動きに支障のない木ねじを使えば、問題はありません。

 

本来ならば、下の写真のように、

段差に合わせて斜めに手すりを取り付けたいところです。

床にブラケットを設けて斜め手すりを付けることも可能ですが、

下足入れが使いにくくなります。

要介護者が「横+縦のL字型でも使える」

ことを確認した上で実施しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よく耳にするのは、「ユニットバスには手すりはつかないといわれたのであきらめた」

建築の知識、ユニットバスの構造など何も知らない者が判断していることが多いのです。

 

住宅改修工事の施工内容決定はどのようになされるべきでしょう。

工事内容の責任はだれが負うのでしょう。

私は著書このサイトで繰り返し述べてきました。

介護保険では、ケアマネジャーがコーディネート役を負うことが多く、

ケアマネジャーの負担が重くなりすぎる傾向があるようです。

ここで「コーディネート役=決定権を持つ=責任者」ではありません。

コーディネート役は、関係者の意見を調整し、案をとりまとめ、申請手続きを進めます。

しかし、すべての段階で決定するのは被保険者(家族や後見人も含む)です。

提案されたものを承認したら、利用者に責任があります。

クーリングオフや消費者保護法の適用も、住宅改修工事で対象となることは多くないでしょう。

そもそも、住宅改修工事の目的は、「役に立つ」ことですから、

これを保証する制度はありません。

住宅改修の場合、小規模な工事であるため、設計者が関与することは希です。

ケアマネジャーと、施工業者(あるいは施工者の窓口として福祉用具事業者)、

そして事前申請を審査する保険者。

それぞれが専門家としての責任を負わねばなりません。

私は、有効な住宅改修工事の普及のために、

「住宅改修サポートのシステム」

が必要と考えます。

コーディネート役であるケアマネジャーをサポートし、

計画の立案から完成まで確認する体制です。

メンバーは、PTかOTと建築技術者。

ケアマネジャーか被保険者の要望、または保険者の判断で派遣する。

保険者はこの体制をつくるべきではないでしょうか。

住宅改修工事の件数が二割増え、費用総額が現状まま・・が見込まれます。

そして、有効な住宅改修工事は本人の自立を助け、介護の負担を軽減し、

他のサービス利用への好影響も期待できます。

 

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