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住宅改修工事のための図面の読み方、描き方
vol.
タイトル
1
連載開始にあたって。【基本編1】平面図と展開図
2

【基本編2】基準線、モジュール、尺貫法

3
【実践編1】実測による平面図の描き方(1)
4
【実践編2】実測による平面図の描き方(2)
【基本編3】表現方法(図示記号)
【実践編3】実測による平面図の描き方(3)
vol.2 【基本編2】基準線、モジュール、尺貫法

 住宅改修費支給申請でも、もっともよく利用される平面図の基本概念を整理しておきます。

基準線(通り芯)

 通常、住宅の平面計画では柱や壁の中心線を結ぶ線を基準線(通り芯)とします。

道路の「センターライン」のようなものです。

床面積を計算するときも、壁の外側の外形寸法ではなく基準線で囲まれた面積を指します。

  

モジュール

 建築物を構成する基準となる単位寸法のことを「モジュール」と呼びます。「マス目」と考えても良いでしょう。

このモジュールを利用して建物を設計すれば、合理的に空間を構成することができます。

 「モジュールを無視して自由に建物をつくろう」と考えることもできますが、モニュメントのような建築物に限られるでしょう。例えが古くて申し訳ないですが「1970年の大阪万博『太陽の塔』のような家を建てたい」というようなオーダーがあれば・・・。

 わが国で流通している建築資材は、ほとんどこのモジュールに適応するようにできています。

しかも、下述の尺貫法に基づいた製品が多いのです。「柱間(ハシラマ)六尺用のアルミサッシ」「巾455o(一尺五寸)のフローリング板」といった具合です。このような基準があるからこそ、設計の標準化、建築資材の工業化、流通やコスト・工事工程の安定化も図れるのです。基準寸法を無視して設計しあらゆる部材を単品生産しても構いませんが、コストはべらぼうに高くなるでしょう。

尺貫法 

 もともと、一尺とは「肘から手首までの長さ」のことで、明治政府が度量衡法で定めるまでは様々な尺が使われていて、まさしく「尺度がまちまち」だったわけです。

明治24年に「一尺はメートル表記で約303o」と定められました。

計量法により昭和34年以降、尺貫法を公に使うことはできなくなりました。しかし、建築現場、特に木造在来工法の現場では、いまでも大工や建具職人などは「五尺九分(ゴシャクキュウブ)しか取れねえ」とか「三分(サンブ)あればいいか」なんて言葉を使います。 

 

〔コンベックス・ルール〕

一般に「メジャー」と呼ばれている鋼製巻き尺の本名は「コンベックス・ルール」

職人が使う道具には「尺相当の目盛り付き」もあります。

 

下の図面を「木造住宅のもっとも単純な平面図の一部」と考えてください。

 この建物では、「モジュールは910o」(実は三尺)です。

四角形Aの面積
1820*1820o六尺四方=一坪=2畳=3.3058u
四角形Bの面積
910*1820o=三尺×六尺=1畳=押し入れの広さ

一部の住宅メーカー、軽量鉄骨造のプレハブ工法等では、モジュールを1000oとしています。

これをメーターモジュールと呼びます。

メーターモジュールで建てた住宅は、廊下や階段の内法寸法(ウチノリスンポウ=基準線の間隔ではなく仕上げ厚さを差し引いた内側のサイズ)は広くなり、建具の有効寸法が広く、同じ6畳の部屋でも910oモジュールで建てた住宅より広くなります。

反面、建具や建材が通常の流通品よりコスト高となったり、住宅メーカー専用品しか使えない・・といったデメリットもあります。