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住宅改修工事のための図面の読み方、描き方

 この連載についてのご意見・ご要望、質問などを掲示板に書き込んでいただければ幸いです。

よろしくお願いいたします。

vol.
タイトル
1
連載開始にあたって。【基本編1】平面図と展開図
2

【基本編2】基準線、モジュール、尺貫法

3
【実践編1】実測による平面図の描き方(1)
【実践編2】実測による平面図の描き方(2)
【基本編3】表現方法(図示記号)
【実践編3】実測による平面図の描き方(3)

連載開始にあたって

「だれにでもわかる」図を目指して

 

 突然ですが、必要を感じてこのテーマについて勝手に(いつも勝手なサイトですが)連載を開始しました。

ケアマネジャーや在宅介護に関わる皆さんに知っていただきたい、と強く感じたためです。

 2006(平成18)年度から住宅改修費の支給は事前申請制となりました。

理由書とあわせて図を添付すれば説明しやすいことや図がなければ説明できないこともあります。

例えば、「二階に上がる必要がある」「トイレが二カ所ある」「トイレまでの動線が長く、廊下手すりの取付箇所がやたら長く説明しづらい」などなど。

現在でも、申請時に図の提出を求められることがあり、添付を義務づけている市町村もあります。

「図面なんかわからない」と言わないために、学んでいただければ幸いです。

介護保険や改造費助成制度担当の市町村職員は建築専門の技官ではありません。

「だれにでもわかる」図を描くことを目指しましょう。

【基本編1】平面図と展開図

 2005年11月18日の「住宅改修研修会」では、演習問題に取り組んでもらいました。

本年度、静岡県内では四カ所で開催しているのですが、この前回にあたる三島での受講生アンケートで「もっと演習をしたい」とのご意見がありました。国立保健医療科学院が作成した「ケアマネジャーに必要な住宅改修アセスメント技術」というプログラムがあり、今回の研修でも使用しているのですが、「もっと基本的な課題に取り組みたい」との要望でした。

 というわけで、浜松会場での研修のために次の図を作成し、

「必要と考えられる住宅改修を図に記入してください。予算は6〜7万円程度で」と出題しました。

下の図面を配布し写真をスライドで見てもらいながら課題に取り組んでもらったのですが・・・

・・・図の読み方(見方)が全然わからない方がいらっしゃいました

「この程度の図なら読めるだろう、記入できるだろう」と勝手に思いこんでいた私の配慮不足でした。

なお、この図のファイル形式はWEBで表示できるように画像(JPEG)に変換していますので、不鮮明で見にくいですがご容赦ください。本サイト「工事アルバム」の図もこの形式です。

原図はJW_CADで作成しています。このソフトは、建築や機械等、図面に関わる技術者には超有名なフリーシェアソフトです。つまり、無料で配布されている(ダウンロードできる)のです。

私の業務ではこのソフトだけで十分ですし、建築確認申請という法手続をこのソフトだけですますこともできます。テキスト本も多数出版されているので、興味のある方は取り組んでみてはいかがでしょう。ゲームソフトで遊べる方なら使いこなせるはずです。

CAD(キャド)とはComputer Aided Design「コンピューター支援設計」のことです。

住宅改修の支給申請に使う図ならCADを使う必要はまったくありません。

手描き(フリーハンド)で十分で、今後の連載でこの方法での「間取り図の描き方」なども紹介予定です。

CADを使う利点=データのコピーや修正が簡単にできます

ある程度大規模な工事(「住宅改造費助成制度」を使う場合など)で「現状図」と「改造図」が必要な場合や、「改修案をいくつかつくる」場合にCADはたいへん便利です。

【図・上】

平面図

建物を窓の高さで水平に切断し、見下ろした図。

間取り図も平面図の一種です。住宅やマンションの広告チラシにも載っていますので、わかりやすいですよね。

縮尺は1/20から1/200程度を使います。当然、縮尺が大きい(分母が小さい)ほど、詳細に描き込まれ、縮尺が小さいとおおざっぱな図になります。

地図と同じように「記号のルール」があり、わが国ではJISで定められていますが、住宅改修に使う図なら「誰にでもわかるような」表現方法を用いるべきです。

この図の縮尺は1/30です。

「寝室の入り口は四本の引き戸(ふすま)」

「トイレの入り口は右側が吊り元(ちょうつがいが右側)で廊下側に開く(外開き)ドア」「便器は洋式」「便器に座って右側に紙巻器がある」などが読み取れます。

ちなみに、便器などの器具・サッシなどは、それぞれのメーカー(TOTOなど)のホームページから図面データをダウンロードし貼り付けることができます。

住宅改修のような比較的簡単で小規模な工事ならば「すべての情報を一枚の図に盛り込む」ようにしましょう。

「他の図(設計図書)を読まないとわからない」ような描き方をすべきではありません。

 

【図・中と下】

展開図

部屋の内部を横から見た図です。壁の切断面が表されてわかりにくいかもしれませんが、「映画のセットを眺めているようなもの」と考えて下さい。

平面図も同様ですが2次元で表す「投影図」ですので、目や写真で見えるような歪みはありません。いくら大きな面でも「平らな図」です。

この図は演習に使うために100oの方眼(タイルの割付のように)を記入しています。

また、今回は必要がないので天井までは表さず、建具の上端(2000o)まで描いています。

平面図の右下には「矢視方向」を記入しています。「a矢視展開図」は、「a方向に見た壁の図」です。

壁や建具の断面も表すので、壁の構造や高さの違い(床段差など)もわかります。

この図では寝室の入り口を「敷居段差15o」と記入しています。

【単位について】

建築では原則として「o」を使用します。

1.5センチ=15o

1メートル=1000oと表し、

20メートルでも20,000oです。