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福祉住環境コーディネート西村事務所
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住宅改造論
「研修その後」報告 since 2004.2.5

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1.経緯

先の2004年1月31日、財団法人しずおか健康長寿財団 介護実習普及センター主催の『福祉用具・住宅研修活用研修会』にて、【住宅改造論】の講義を務めました。受講者は作業療法士または理学療法士で、3年以上の実務経験のある方々。「相談を受ける専門家を養成する」という研修です。

この件についてはサイト読者の皆さんに「意見をいただきたい」と呼びかけたのですが、反響がほとんどなく、いささか落ち込んだ次第です(__)

 レジュメは、結局1月26日付「ときどきコラム」で公開した「案」の通り(次項参照)で実施し、power pointのスライドは工事例の写真を含め200枚近くとなり、所定の3時間で何とか終えました。

2.研修で使用した「レジュメ」の項目

序 「住宅改造」とは

T.住宅改造の要点
U.住宅改造の定義と目的
V.住環境
  「居住福祉」
  「障害」と「環境」

W.一般論としての「バリアフリー」
  1.建築基準法
  2.高齢者居住法
  3.住宅金融公庫
  基準金利適応住宅「バリアフリータイプ」

X.制度の活用
   1.介護保険
   2.社会福祉諸制度
   @身体障害者住宅改修費給付
   A重度身体障害者住宅改造費助成
   B静岡市あんしん住まい助成
   C浜松市高齢者住宅改造費助成
   D身体障害者日常生活用具給付
   E高齢者住宅整備資金の貸付

Y.住宅改造・用具活用の手順

Z.施工業者の選定

[.トラブル発生時の対処(相談窓口)
  県行政センター(消費生活)センター
  財団法人 住宅リフォーム紛争処理センター
  県弁護士会 住宅紛争審査会

\.住宅改造の実際
  工事データから

].箇所別 改造の要点

○演習

A4版の図面に記入してもらう課題を出しました。トイレ・洗面脱衣室・浴室の改造計画。 福祉住環境コーディネーター検定1級2次試験よりちょっと難しい程度。 相談を受けるなら、図面の読み書き能力が必要です。


3.研修後のアンケート結果

2月3日、介護実習普及センターの担当者さんよりメール送付いただいた資料より転載。受講した39名の方々よりの意見を集計したもの。

個々のご意見は「役に立った」など好意的なものばかりでありがたく思いますが、このようなアンケートで批判を述べる人はまずいませんから、本音は他にある方もいらっしゃったことでしょう(^^ゞ


ほとんどの方が「知識としては理解できた」が、「明日から生かせるか」となると43%。「実務に生かす」には、実践経験を積まないと難しいと、私も思います。

私も経験が豊富なだけが取り柄ですが、一件一件に違う条件がありますから、いつも新しい気持ちで取組む必要があります。「以前のようにやればよい」では良い仕事はできないでしょう。

4.受講者からの質問

 10通ほど質問をいただきました。きょう(2月5日)から、一問ずつでも掲載していきます。

それぞれ簡単にお答えできない大切な問題で、私の意見がまとまった設問から順次掲載いたします。(一気にはまとめる余裕がないので失礼)

Q1 お金のかかることであるし、失敗したくない。いい業者の見分け、さがすためのよい方法がありますか?

A
 「失敗したくない」という気持ちは正直なところでしょうね。

私はかねてから機会ある毎に言っていますし、この研修でも述べましたが、「改修内容について決断を下し、役に立つかどうか責任を負うのは利用者本人」です。

相談を受ける立場の皆さんは助言をする のが役割です。

 私の業務は、ほとんどの場合に<コーディネートと施工>を請負うようにしています。

もし、改修した工事が「使い勝手が悪い、役に立たない」あるいは「見映えが悪くて気に入らない」というような場合に、責任を持って(少なくともある程度は)対処できるからです。

ふつう、施工業者(工務店や大工さんなど)の役割は、「当初の契約どおり(設計図書にしたがって)に施工する」ことにあります。ですから、「改修した工事が役に立つかどうか」は、施工業者の責任範囲外です。


 しかし、我々が関わっていく【住宅改造工事】が一般にリフォームと呼ばれている工事との決定的な違いは、「役に立つ工事をしなくては意味がない」のです。

 質問にある「いい業者」には、<コーディネートして施工する>能力を求めているのでしょう。実際、ケアマネジャーさんはそのような業者を探しているようです。

 最も大切なのは、施工の良し悪し以前に「どのように、だれがコーディネートするか=改修内容を設定するか」にあります。

これはたいへん難しい問題です。本人、家族や病院のスタッフ、ケアマネジャー、建築士や施工業者が智恵を出し合うわけですが、誰かがコーディネートせねばなりません。

もちろん、それぞれの立場の人たちが、持っている情報と知識を最大限発揮することが前提です。

 建築工事という形をとる場合、設計図書(設計図や仕様書など)は施工業者が作成します。

(設計事務所に依頼する場合は、設計事務所の建築士)コーディネートの結論が設計図書にあらわされるわけです。とすると、最終的にコーディネートを形にするのは、「図面がかける人」になります。

(福祉住環境コーディネーター受検試験には簡単な製図の問題もあり、この理由は納得できるものです)

 随分、話しが長くなってしまいましたが、<コーディネートして施工する>能力のある業者は、地域にそう多くはないと思われます。

このような業者を探す最も良い手段は、役場の介護保険や福祉担当窓口に問い合わせることでしょう。諸制度を利用する工事に手馴れた業者が良いと思います。

私もそうですが、特に住宅改造工事では経験(失敗も含め)を積んでいないと、わからないことがたくさんあります。福祉機器や設備機器、福祉用具の知識も必要です。

 あるいはケアマネージメント業務担当の「居宅介護支援事業所」に問い合わせても良いのですが、経営上の都合であまり質の良くない業者と提携していることもありますから、注意が必要です。

Q2 高齢者住宅改造費助成は(市町村によっても異なるでしょうが)その年度に使える金額が制限されていると効きました。

  やはり申請は年度始めの方がよいのでしょうか(許可がもらえやすいか)

A
 (「重度身体障害者助成」は全国ほとんどの自治体で実施されていますが、 「高齢者住宅改造費助成」を実施しているところは多くありません。

ほとんどの場合、市町村の単独事業です。市町村、県によって助成制度は大きな差があります。

充実した制度をつくってくれそうな首長や議員を選ぶか、住民運動で充実を訴えるか、ですね。)

  自治体によってまちまちでしょう。直接担当者に問い合わせてみてください。

 当然のことですが、年度予算によってその年の補助金総額は定められています

数年前の1月頃、某市の福祉課に申請しようと打診した際に、「今年度はもう予算がないので、次年度(4月以降)に申請してください」、と却下されたことがありました。

その後、その市では年の半ば頃で足りないような見通しがつくと、補正予算で確保しています。

しかし・・・・年度の当初にニーズが発生しますか?次年度まで待てますか?

住宅改造のきっかけが「退院準備」の場合が多いことを考えると、「いつでも申請できて、できるだけ早く審査し、許可してもらいたい」ですね。 

浜松市高齢者福祉課では、「退院準備のためできるだけ急ぎたい」旨を申し出ると、条件さえ満たしていればすぐ現地確認してくれ、(最短一日で!)許可内示してもらえます。

とてもありがたいことで、利用者にも喜ばれています。

研修でも述べましたが、申請する側として大切なこと

1.「許可条件を満たしているか」を確認

 これは前提条件です。所得税額(家族も把握できていないことが多し)、工事の内容、要介護認定を受けているか(あるいは申請しているか)など

2.申請用文書を整える

 図面、写真、見積書、申請用「理由書」が書けますか?など

3.時間に余裕を持って準備する

  病院からの退院準備の場合は、退院指導が遅すぎることが多く、たいへん困ります。

 退院指導は早めにして下さい!入院当初から「退院後の生活」を考えるべきです。

Q3 よく使用する手すり等はホームページでも紹介していますか?


「リンク集」をご覧下さい。私がよく利用するメーカーさんを紹介しています。

私はいつも「できるだけ安く」を心がけているつもりです。手すりは有名ブランドは高いので、木製手すりは木工所で作ってもらったりしております。

ステンレス製もメジャーでないところを。「ブランド品を使って欲しい」とおっしゃる方もたまにいらっしゃいますが。

 木製手すり・・・イズミ、ケアテック浜松他

 ステンレス塗膜手すり・・・相模ゴム

 敷居用木製スロープ、玄関用段差解消台・・・ケアテック浜松。

オーダーメイドで作ってもらいます。

 イレクター製品・・・矢崎化工。

シャワーいすやすのこの特注品、屋外用ステンレス手すりも

 設備機器・・・TOTO。機器に関連した手すり(トイレ用肘掛け型)や昇降便座、入浴用リフトなどの製品もあります。

 「暮らしの手帳」ではありませんが、PR料はいただいておりません。念のため(^_^)v

Q4 住改へのできるだけ早い取り組みを、とおっしゃってましたが、限度額の20万円と、住改原則1回という事がネックになっていると思います。

実際に経験があるのですが、今御本人の状態とニードから5〜6万円程度の工事が必要だったのですが、CM(ケアマネジャー)から「原則1回だから現段階での工事はやめたほうが良い」と言われました。

かといって現時点であまり必要ない工事を見込して行なうのも・・・。

結局その方は工事しないまま亡くなってしまいました。どの段階で、どういう工事が必要か見極めるのはとても難しいと思います。

A
 研修でも 「支給限度基準額の20万円以内ならば、数回に分けても良い」と説明したつもりですが。

この事例ではケアマネの認識違いか、時折見かけますが「住宅改修は面倒なのでやりたくない」と考えたのか。「5〜6万円程度の工事が必要だった」と明確なら実施すべきだったでしょう。

サラリーマン根性丸出し(『その日の仕事を片付けて給料もらえればいい』と考えている)の怠惰なケアマネが多いので、ご注意ください。

 介護保険制度では、利用者(と家族)がケアマネに頼りすぎて、ケアマネの権限が強すぎること多し。

Q5 介護保険と他の諸制度との抱き合わせについて一度に工事をした場合は、説明のあった様だと思いますが別々にすれば75万+18万という工事が可能ということでよろしいでしょうか?


以下、浜松市の見解を述べますが、自治体により違いがあるかもしれません。市町村にご確認ください。

 「介護保険利用が優先で、補助金は保険給付額を差し引く」ことが原則です。

 「高齢者住宅改造費助成」制度と介護保険併用の場合・・・補助金の限度額は75万円です。

この内、介護保険対象分が20万円(支給額は18万円)ならば、 「高齢者住宅改造費助成額」は75万円−18万円=57万円となります。

 浜松市では、介護保険施行(2000年、平成12年)当初は、別々に申請すれば75万円の補助金と18万円の保険給付を受けることができましたが、現在は「以前に介護保険給付を受けていて、後に住宅改造費助成を申請した場合、以前の介護保険給付額を差し引く」こととなっています。

Q6 フォローアップについてどのような点で問題点があったか、家族の意見なども少しあればと思いました。


「とても役に立っている」とか「介護保険や補助制度について何も知らなかったので助かった」など、喜んでいただいている感想をいただくことがほとんどなのですが、「苦情・お叱りのことば」の例を紹介します。

1.「役に立たなかった」

 幸いにも(?)私が独立してからのここ2年間はありませんが、その前のサラリーマン時代約7年間の内にはありました。この間の学習が今役立っているのでしょう。

 〔手すりの位置が適当でなかった〕〔洗面器の高さが不適当で、車いすで使えない〕

 ・・・本人が入院中などで確認できなかったとき。病院に面会に行く、担当のOTかPTに確認するなどの手順を踏まなかったという、まったく根本的ミスで、弁解の余地なし。

2.「色・デザインが気に入らない」

 このクレームは高齢者ご本人でなく、施工後に同居の家族(本人の子)からのものでした。

私はいつも「できるだけ安く、早く」施工しようと考えていますので、通常使用している部材を勧め、実物やカタログで確認いただいています。しかし、打ち合わせ時に同居家族が不在で、後にこのようなクレームを受けたことがあります。

 再塗装したり、手すりを取替えて対処しました。

 このように、クレームが発生するとすれば「事前の検討、打合せ不足」が原因です。「手間を惜しんではならない」というのが戒めですね。

Q7 業者の能力を知る方法などあるのでしょうか?

A  Q1もご覧下さい。

 役所に問い合わせるか、医療機関や住宅改修を実施した方の意見などを聞いてみてください。

手馴れた業者は地域にそれほど多くはないでしょうから、「実際の施工実績」の評判を聞くか見学させてもらって判断して下さい。

Q8 講義で使ったpower pointのコピーが欲しいのですが。

A 申し訳ですがお断りします。レジュメと講義で話した内容を元に、ご自分で調べてください。生意気を申しますが、それが勉強ではないでしょうか。

このサイトや福祉住環境コーディネート検定のテキストが役に立つと思います。