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福祉住環境コーディネート西村事務所
ときどきコラム 「住宅改造論」 介護保険で利用できる
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住宅改修の種類

介護保険で給付を受けることのできる工事の種類は、 次のように定められています。

保険者(市町村)によって判断に差があります。厚生労働省の見解で「可」でも「否」とされることも。 「この工事は給付されるかな」というような場合は、 事前申請前に市町村窓口で確認してください。

1 手すりの取付け及び付帯する工事
2 段差の解消及び付帯する工事
3 すべりの防止及び移動の円滑化のための床又は通路面の材料の変更
及び付帯する工事
4 引き戸等への扉の取替え及び付帯する工事
5 便器の取替え及び付帯する工事

直線上に配置

1 手すりの取付け及び付帯する工事
改修工事でもっとも多いのが手すりの取付けです。
ニーズも多いし施工頻度も圧倒的に多く、ほとんどの改修工事には何らかの形で手すりの取付けが伴います。
チェックポイント
1 何のために、どこにつけるか 歩行用?立上り用?移乗用?使い方を考えて
2 どんな手すりをつけるか 木製、ステンレス製、樹脂製、可動式・・・
3 取付け方法

下地は?取付け部品は?工具は?

本職の大工さんに依頼するのが無難です

写真の説明

玄関ポーチにはステンレス製手すり。かつては一品ずつ鉄工所で製作してもらっていましたが、現場で加工・組み立てる部材が製品化されています。材料さえあれば注文を受けてすぐ施工できるようになりました。
玄関には木製手すり。上框段差部には昇降用の縦だけでなく、斜めや水平手すりも役に立ちます。連続した動作・・・履き物や下肢装具の着脱、玄関に上がってからの歩行・・・も含めて考えましょう。


私のお勧めする手すり部材メーカー
1 イズミ
株式会社
特に木製手すりの接合部材が豊富。T型や突きつけなど様々な接合方法が可能になります。他にステンレスやアルミ製なども。         
2 矢崎化工 スチールに樹脂で被覆したイレクターパイプでおなじみ。樹脂被覆のステンレス製手すり(夏は暑くならず、冬は冷たくない)もあり、部材が豊富。木製手摺の部材が増えています。多種の部材を使いこなせば、安くきれいに納まります。
3 相模ゴム 樹脂皮膜のステンレス製は浴室向きでコストパフォーマンス良し。
4 TOTO 高級感のある「インテリアバー」やトイレ用の肘掛け型手すりなど。

2 段差の解消及び付帯する工事

目的や部位・予算によって様々な手段・方法があります。
1 スロープを設置する

敷居段差を解消する簡便な方法が、木製スロープ(段差すりつけ板)の取付け(写真:上)。既製品よりオーダーで作ってもらうほうがきれいに収まります。 ケアテック浜松

屋外から出入り用のスロープ(写真:下)をつくることも給付対象です。

2
踏み台(式台)をつくる

歩行可能で100o以上の段差なら、一般に、スロープよりも踏み台のほうが良いでしょう。、勾配が急では危険です。玄関の上框に踏み台を設置する

3 低い床をかさ上げする 敷居段差が同じなら床全体にフローリング板を重ね張りすることも。一段低い土間に床をつくって居室と一緒にしたり、浴室の床をかさ上げすることも。(ユニットバスにしても対象となります)
4 高い床を下げる 上記の逆に、一段高い床を下げることも。たとえば、和室を洋室や廊下にあわせることなど。床組みの根太などから作り直すことになります。

3 すべりの防止及び移動の円滑化のための床又は通路面の材料の変更
及び付帯する工事
畳⇒フローリング板に。
壁の、床から250o(幅木部分)は板で補強し、車いすによる壁の損傷を防ぎます。
ずいぶん長い文章ですが、要は「床の張替え」です。屋外の場合が「通路」で、コンクリート舗装やタイルを貼ることも。
屋内床材の特徴
1 畳は断熱性能が優れ感触もよく、日本人はやっぱり畳好き。車いすを使うからといって、畳をやめる必要はありませんが、自操では動きづらい。家族が「畳が痛むから」という理由も。
2 フローリング板 一般にベニヤ板の表面に薄い銘板を貼った「複合フローリング板」が使われます。耐車いす・耐キャスター加工され、傷のつきにくいもの有。シックハウス症候群対策で無垢板を好む方も。
3 ビニル系 住宅では「クッションフロア」をよく用います。汚れに強いのでトイレでよく用いますが、濡れたらすぐふき取らないとすべりやすい。
4 カーペット ダニの発生からアトピー性皮膚炎が問題視され、新築住宅ではあまり用いなくなりました。転倒予防とクッション性能が優れています。部分敷きでは端部に引っかかって転倒することもあるので、居室や廊下の全体に敷き込んで下さい。

 

4 引き戸等への扉の取替え及び付帯する工事
「扉」とはスイングドアのこと。上肢麻痺や車いす利用者にとっては開閉が困難です。
建具を使いやすくする方法
1 引き戸にする 「横に引く」スライドドア。横に引くスペース(引き代=ひきしろ)が必要で、工事も少し大掛かり。
2 折れ戸にする 引き戸にするスペースがない場合に。たたみ代が大きいので、開口巾はあまり大きくない。
3 開き勝手を変える 開く方向を、たとえば、トイレのドアを外開きにしたり、右→左にするだけで使いやすくなることも。既存ドアを転用すれば費用も節約できます。
4 ドアノブを使いやすく ドアノブ(握り玉)は握らねばなりません。レバーハンドルにすれば、上肢麻痺でも使いやすくなり、給付対象工事です。
5 アコーディオンカーテン トイレに使える簡易錠付きも。たたみ代が大きい。
6 カーテン 気密性や音を辛抱すれば、一番開きやすい。気配がわかるという利点も。

写真の説明


トイレのドアと脇の小さな壁(袖壁)を撤去し、引き戸に取替え。
敷居のレールが不要な「吊り戸」(鴨居から吊る方式)としました。

5 便器の取替え及び付帯する工事
想定されているのは、和式から洋式便器への取替え、及びそれに伴う給排水設備工事と床の張替え工事が給付対象です。同時に温水洗浄便座(商品名:「ウオシュレット」など)を取付けることも認められています。但し、基準限度額の20万円以内では難しい。

その他、認められる工事

1 便器のかさ上げ 便器の高さが低く、立ち坐り動作が困難な場合に。しかし、補高便座や電動昇降便座の「福祉用具」で対応可能です。
2 使いやすい便器に交換

例えば、「幼児用でなければ」「小便器がなければ」排泄できない・・・という理由が認められれば可能。

写真の説明

費用を安くするため、壁の下部(タイル貼り部から下)のみを解体し改修。床高さは廊下に合わせました。便座は、温水洗浄式ではなく暖房便座(商品名:「ウオームレット」)としました。手すりの取付けも含め、20万円以下で収めた工事です。

 

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