福祉住環境コーディネート西村事務所
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「トイレ・洗面脱衣室を一室に、浴室をユニットバスに」
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築百年超の農家にユニットバスを設置、トイレや洗面台、洗濯場を新たにつくる


浴室は屋外の小屋にあります

・・築百年超の農家にユニットバスを設置、

トイレや洗面台、洗濯場を新たにつくる

その1

2008.6.26(木)・・導入

その2

2008.6.29(日)・・事前相談
その3 2008.7.3(木)・・事前申請
その4 2008.7.11(金)・・承認を受け、着工
その5

2008.7.12(土)・・床組、浴室基礎コンクリート

その6

2008.7.16(水)・・ユニットバス組み立て、床組

その7 2008.7.20(日)・・床組、床暖房ユニット敷き込み、天井下地組
その8 2008.7.23(水)・・フローリング板張り、壁開口、天井板張り
その9 2008.7.25(金)・・壁起こし、壁・天井仕上げ
その10 2008.7.26(土)・・造作、器具付け

建具建て込み〜完成しました!2008.7.29(火)

「建具は現場ではめ込むもの」ではありません。(枠と一体化されて作られた工業製品は別ですが)一品ずつ手作りし、かんななどで調整しながら「建て込み」ます。古い家屋は水平・鉛直がかなり狂っているので、この調整が一苦労。
土間から上がる階段と手すりは現場施工。ガラス障子を開けて出入りします。障子の腰高までは危険予防のためアクリル板製としました。
多目的スペースの東壁面裏側は物置。鉄筋製筋交い(すじかい)で補強。地震・風の水平外力に対抗します。 食事・洗面・洗濯・・・多目的スペース。窓に筋交いの影が。調理はせず配食サービスを利用。バナナは常食みたい・・ 
失禁の多い利用者のために、寝室に接した浴室とトイレ。浴室入り口は段差のない三枚引き戸。 浴槽には半身浴のための台が。手前側を背中にして座れば足の突っ張りになり、溺水を防ぎます。
車いすでも使えるレイアウトとしたトイレ。体重100sの対象者に配慮し背もたれ付き手すりを設置。ロータンクに体重が掛かると破損する恐れがあります。自動洗浄機能付きウオシュレットは金属製ベースプレート仕様。

 その10 2008.7.26(土)・・造作・器具付け

手前、梁の下に鴨居と小壁を造作。流し台と洗面化粧台が呉越同舟?「多目的スペース」なのです・・・ 梁を現し(あらわし、わざと見せること)にした天井が、ようやく仕上がりました。

その9  2008.7.25(金)・・壁起こし、壁・天井仕上げ

寝室の北側に壁を起こし、トイレを新設。奥の窓はもと掃き出しガラス戸があった開口部。右はユニットバス。 多目的スペース。奥左の壁はユニットバスの背面、構造用合板を張り、耐力壁をつくりました。正面のサッシ二つはもとの開口部を活かしたもの。

その8  2008.7.23(水)・・フローリング板張り、壁開口、天井板張り

床の仕上げは、暖房ユニットの上にフローリング板張り。 多目的スペース壁の開口部。一部は塞ぎ一部に開口をもうけました。新設開口に対しては補強を施します。
多目的スペースの天井下地。 天井板を張り出しました。

その7 2008.7.20(日)・・床組、床暖房ユニット敷き込み、天井下地組

床組。下層から、大引き・根太・断熱材をはさみながら合板貼り。浴室左側奥にはトイレをつくります。 二室並んだ寝室にガス式床暖房発熱ユニットを敷設。もともとLPガスを利用しており、配管設備費を節約できました。
土間スペースに床組開始。水平を測定しながら。中央奥はかまどのある台所でしたが、壁で仕切りました。 梁を見せるため、天井高を稼ぐため天井組はたいへん手間が掛かります。

その6 2008.7.16(水)・・ユニットバス組み立て、床組

ユニットバスの床。「こんなに狭いの?」と感じますが・・。 となりの部屋は床組中。框・敷居は、シロアリ食害のため取替えました。

この日の夕刻には組み立て完了。この早さがユニットバスの大きなメリット。従来の工法では現場で施工していた工程が、工場で既に作られているわけです。

この箱の中はほとんど密閉された空間ですから、湿気が外に漏れず構造体を傷めないことも、大きなメリットです。故に、このように、寝室の一角に浴室を造ることができるのです。

手前の壁面に二つ並んだ×型の部材は、手すり固定金具、もちろん漏水処理しています。

床板は、作業の足場として仮に敷いているだけです。

寝室の一角に浴室?どんな雰囲気になっていくのでしょうか・・乞うご期待!!

その5 2008.7.12(土)・・床組、浴室基礎コンクリート

床を組み始め。束石・束・大引き。腐食やシロアリ食害の部材は取り外し。生活を続けながらの施工、黒電話はもちろん現役です。 浴室の基礎コンクリート打設。浴室はこの工事のクリティカルパス(工程上のネック)。ユニットバスを組み立てないことには他の工事はストップしてしまいます。

その4 2008.7.11(金)・・承認を受け、着工

 市から(区役所からですが、東京都の特別区ではないので自治体としては市です)現地確認のための訪問がありました。介護保険と高齢者施策の各担当、計2名。

私と担当ケアマネジャーも立ち会いました。私たちが立ち会う必要はないのですが、説明責任があるので。

実をいえば、一日も早く着工するために。現地確認時の感触で承認の可否がほぼわかりますから。

 施主である対象者に「たとえ支給と助成がなくても実施する」意思があるので、市の現地確認後すぐに解体工事を手配。

 現地確認の五日後に、市より「介護保険住宅改修工事費支給」「高齢者住宅改造費助成」の承認書が届きました。

即、着工!

畳をはがすと囲炉裏の跡があらわれ、びっくり。「2階(小屋裏)で飼っていた蚕のための暖房」と聞き、またびっくり。人よりも蚕が大事だったのか・・・“おしん”の世界?

床下の構造にも驚きました。「耐震診断補強相談士」の講義で学んだ伝統構法。太い丸太が土台兼大引。シロアリに喰われていない部材は活かすことにしました。稲を干すための竹やら何やら床下に大量につっこまれていて、搬出がたいへん(>_<)

その3 2008.7.3(木)・・事前申請

 事前相談を経て作成したのが下の図「改造案」です。

改造案 

土間の内、約14畳大を食堂・洗面所・洗濯に使用する。この「多目的スペース」は梁の大きさ(梁成)が高く、浴室が設置できない。寝室の奥、北側にトイレをつくる。

 この図と見積書をもとに「介護保険住宅改修工事費支給」「高齢者住宅改造費助成」申請文書を作成し、区役所に出向きました。

 市の見解「新しくつくる床(多目的スペース)は、助成対象とは認めない」

理由・・・このスペースに浴室を造るなら助成対象となる。しかし、浴室ができないなら、単なる生活空間の拡大でしかなく、このスペースをつくる必然性がない。

∴「浴室設置工事費と多目的スペースに昇降する階段と手すり設置」で申請する。

この工事で112.5万円を超えるので、×2/3=助成額75万円(介護保険支給を含む)を受けることが可能です。

あとは、市(区役所)の担当官が現地を訪問し、対象者の身体状況と建物設備を確認します。そして問題がなければ、支給と助成の決定がなされます。

浜松市では申請から決定までが一週間から10日間ほどかかります。

しかし、対象者とご家族は一日も早い完成を望み、「たとえ支給と助成がなくても施工する」ことを確認し工事請負契約を締結。同時に工程のネックとなる(クリティカルパス)ユニットバス(納期が約2週間かかる)を発注します。


その2 2008.6.29(日)・・事前相談

床をかさ上げする土間の頭上にはこんな梁が。

浴室をつくるには天井高さが低すぎます。

梁の上は、かつて蚕を飼っていた屋根裏部屋。

梁の圧倒的存在感。隠すには忍びないのですが・・

 その1 2008.6.26(木)から続き

このような工事に対して、1.「介護保険住宅改修工事費支給」や2.「高齢者住宅改造費助成」は該当するでしょうか?

さすがに厚顔無恥な西村も、この計画で制度が利用できるかどうか、いささか自信がありません。

いきなり事前申請手続きはせず、区役所へ『事前相談』に出向きました。

 

以下、事前相談での区(市)とのやりとり。

1.「介護保険住宅改修工事費支給」

該当の可能性ある項目は次の通り。

○新しくつくる床・・多目的スペース・・に上がる階段→「段差解消」

○     〃   に設ける「手すり取付け」

○浴室(ユニットバス)の内、浴槽部分→「段差解消」・・・浴槽のまたぎ高さと深さを浅くする、という解釈

○ユニットバスに設ける「手すり取付け」

新しくつくるトイレは当然対象外。もともと洋式便器ですから。

 

2.「高齢者住宅改造費助成」

市の単独助成制度。

所得税額20万以下の世帯のみ対象。工事費の2/3かつ75万円(介護保険支給を含む)まで助成されます。

工事内容の制限は、介護保険に比して柔軟性があります。

該当の可能性ある項目は次の通り。

○新しくつくる床・・多目的スペース

○浴室(ユニットバス)の内、浴槽を除く部分

事前相談を経て、「何とか制度が使えそう」という感触を得て、実施設計・見積作業に入りました。

 

この後の展開にご期待下さいませ・・・・

2008.6.26(木)

 愛読者のみなさま、お久しぶりです。

二ヶ月ぶりの更新です。死亡説も流れた?西村です。

なぜ二ヶ月も更新しなかったか・・・公私ともに多々ありまして・・・

いつか機会がありましたら・・機が熟しましたら、告白いたします。

そんなわけで、どんなわけや(^_^)/~、いきなり連載を開始します・・


ほぼ同時進行、短期集中連載

 その1 2008.6.26(木)

浴室は屋外の小屋にあります

・・築百年超の農家にユニットバスを設置、

トイレや洗面台、洗濯場を新たにつくる

介護保険や住宅改造費助成は利用できるか?


対象者は八十歳代の男性。

夫人は昨年他界し、五十歳代の子と二人暮らし。

【対象者】

高血圧の症状により手足にしびれ、歩行に支障あり。要介護度1。

白内障で視力が低下、運転免許証は返上し自転車も危険で運転不可。

ほとんどラジオを聴いて過ごす。 

二日に一度訪問介護による家事援助を受けている。食事はほとんど配食サービスに頼る。

【子】

精神疾患がある。体重100s以上。動作は緩慢、家事はできない。

排泄など日常生活全般に介助を必要とする。

介護保険の特定疾患や身体障害はなく、使える福祉・介護制度がない。

現在は入院中、近いうちに退院予定。

もっばら父親(対象者)が介護するしかない。

市の保健師が関わっている。

【現在の住環境】

築百年超の農家。

広い土間、田の字型平面の間取り。

風呂場は屋外の小屋にあり、狭く浴槽は深い。

対象者は数ヶ月間、入浴していない。

【住環境整備の目的】

ケアマネジャーの紹介で住宅改修・改造を検討。保健師の助言も受ける。

「対象者と子が安全な生活を送ることができるように」

「寝室の近くにトイレ・浴室をつく。コンパクトなスペースで生活が完結するように」

 

「介護保険住宅改修工事費支給」と「高齢者住宅改造費助成」を申請するのですが・・・

現状図 

この広いお宅で、土間・寝室・食堂・トイレしか使われていない。トイレは寝室から遠く、子は失禁を繰り返す。

南から。写真左が母屋(おもや)、右の小屋が寝室・洗濯場 浴室。狭く、またぎが高く、浴槽は深い
土間から食堂。段差は515o 土間。流し台はあるがヘルパー以外は使わない。
食堂から寝室兼茶の間。床板・畳とも傷みが激しい 北側には広い庭が。「いっそここに新築しては」意見もあったが、「この家に住み続けたい」思いが最優先。

 

 


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